【GONCはなぜ、ワインにデヴィッド・ボウイの曲名をつけたのか。その秘密はこちら】
Profile
タイプ/白(辛口度 ★★★★☆)
産地/スロヴェニア
生産者/Gonc
品種/ピノグリ
ヴィンテージ/2022
アルコール度数/12%
容量/750ml
適温/18℃
オレンジ色がかった紅茶カラー。ドライフルーツ、ドライハーブ、八角や漢方のようなスパイス香、フレッシュではなくドライな印象です。酸は円やか、アルコールのボリューム感があり、ぶどうのエキス分に溢れています。味わいのバランスが良く、アフターにはタンニンもしっかりと感じられる、フルボディのオレンジワインです。
ぶどうは満月の日に収穫されました。ファンキーな天然酵母を使用し、醸し期間は42日と長めです。亜硫酸を使わず、自然に任せて醸造しています。マスト(果汁)に移行したピノグリのタンニンがワインを酸化から守り、この独特な紅茶カラーがハーベストムーンの色となります。月光の元で圧搾し、その後、スラボニアンオークの大古樽で15ヶ月シュールリー(滓の上で熟成)を施しています。亜硫酸塩を添加していないナチュラルなフリウリを彷彿とさせるワインです。
Marriage
《おすすめの料理》 フォンドヴォー系のソースを使った鹿や鴨などのジビエ料理、グラーシュなどの煮込み料理など。複雑な味わいの煮込み系やソースと相性が良いです。また先日は、芳ばしい鰻の蒲焼と頂いた時は、美味し過ぎる組み合わせでノックアウトしました。完成された味わいなのでワイン単体でも楽しめますが、もっと色々なお料理と冒険してみたい、そんな可能性を秘めたワインです。
Story
最高のワインラバーは最高のワインに値する −Peter Goncー
Goncのワイナリー史は1936年に遡ります。先代の曽祖父が、ハンガリーとの国境にあるDobrovnik村で、ぶどうの苗木を植えたのがはじまりです。現在は4代目の当主 Peter Gonc(ペーター・グンツ)に受け継がれ、スロヴェニア第2の都市Mariborの近郊、Ptuj村でワイナリーを営んでいます。
世代をこえて守り継がれた11haの畑では、家族のみでぶどう栽培から元詰めまでを行います。『母なる自然』との結び付き、その歩みに耳を傾け、従うことを心がけています。彼らにとってそれは、天然酵母にワイン造りの全てを任せ、添加物なしにナチュラルなワインを造ることに繋がります。自然なワイン造りこそが、土壌のポテンシャルやその年の気候、ひいては情熱をも表現できると信じています。
真面目にワイナリーの紹介を書いてきたのですが、つまらない、実につまらない!!非常にありきたりな内容で、面白くない!ことに気が付きました。この文章を書いている本人がそのように感じるのですから、きっと皆様はもっとウンザリされているだろうと想像します。では、ここからはワイナリーのキャラクターに合わせて、ファンキーに参りましょう!
ここにひとつ面白い話があります。ワイナリー名の誕生秘話です。Goncの名前は、彼らがプロデュースしたハンガリー産の樽の名前に由来しています。それは136Lの小樽。Göncのワインのエチケットには「G」「1」「3」「6」という英数字が点で表現されていたり、アイコンや水玉も点で表されています。点(ドット)は数えたらいくつあるのかわかることですが、その数はワイナリー名に由来する樽のリッター数「136」に辿り着きます。疑うつもりはありませんが、鉛筆で×印を付けながら、地道に点やアイコンをカウントしました。はたから見たら相当変な人です。数えたら本当に136個ありました。ワインは136のドットからできており、1つのドットは1Lを表します。エチケットをゆっくり眺めると、色々な発見があり、なかなか興味深いものです。
もうひとつGonncのユニークな一面をご紹介したいと思います。ペーターは典型的なロックファンです。彼のクリエイティブなワイン造りに良い音楽は不可欠だそです。Toploader、Steppenwolf、Ram Jamなどを醸造中のワインに聞かせています。リズムにノリノリの当主とワインを想像しました。ワインが音楽と出会えば、それは心が揺さぶられるようなファンタスティックな組み合わせで、もう良い曲なくしては、Goncは良いワイン造りが成し得ないと言います。「良い音楽がないと良いワインは造れない」マジですか。彼には良い音楽を聴かせなければです!ペーターの造る白ワインは、あたかも燃料のようなワインで、人々の胃袋に容赦なくかがり火を灯します。躍動感と言いますか、そのエネルギーが半端ありません。段々Goncのワインが飲みたくなってきた頃だと思います。この辺りで結びに入りましょう。
ここまで書いておきながらですが、ペーターが伝えたいのはワインの解説ではありません。実際にワインを飲んでその声を聴けば、きっと貴方だけのGoncの物語を聴くことでしょう。多くは語りません、先ずは飲んで感じてみて下さい。
GONC(グンツ)の生産者についてはコチラ