退屈にさせない!
個性派オレンジワイン!
【GONCはなぜ、ワインにデヴィッド・ボウイの曲名をつけたのか。その秘密はこちら】
Profile
タイプ/白(辛口度 ★★★★☆)
産地/スロヴェニア、ポドラウィエ
生産者/Gonc(グンツ)
品種/リースリング50%、シャルドネ50%
ヴィンテージ/2022
アルコール度数/12.9%
容量/750ml
適温/18℃
生産本数/3000本
Taste
スロヴェニアのオレンジワインの良さが前面に出ている1本です。グラスに注ぐとくすんだゴールドカラー、ほんのり濁っています。香りは複雑で幾重にも奥行きがあります。黄桃やカリンなどの完熟フルーツ、天草、ハーブなどの清々しい香りがします。香りと同様に味わいも濃厚です。果実の厚みに由来するこっくりとした印象、アルコールもパワフルな骨太タイプです。おまけにタンニンも感じられるので、飲み応えも十分にあります。フルボディの大満足なオレンジワインです。
Marriage
《おすすめの料理》 ワインに骨格があるので、繊細なお料理ではなく、わかりやすくパンチのあるものがおすすめです。がしらの煮付、のどぐろの唐揚げ、ムール貝の酒蒸しなど、味のあるシーフードと合います。お肉なら鴨、猪、羊、猪などのジビエ料理。香りのよいキノコとも相性が良いです。お食事と合わせても、食後に単体でも楽しめる上質なワインです。
Wine Making
スターマンのエチケットには雷のイラストとデヴィッドボーイの名言が記されています。
“I don’t know where I’m going from here, but I promise it won’t be boring.”
(これからの方向性はわからないけれど、退屈させないことだけは約束するよ)
初めてこのエチケットを見た時、ワインは飲んだことがあったので、直感的に「そうでしょうね」と合点がいきました。このメッセージが何を意味するのか(まだ)知らないですが、刻々と変化するスターマンを飲んで退屈はしないことでしょう。笑 時間の経過と共に面白くとも代わり映えするワインです。先日は3週間かけて楽しんだのですが、その間もずっと怒ったり、笑ったり様々な表情を見せてくれました。使用しているぶどうは、リースリングとシャルドネです。満月の日に収穫して、発酵には天然酵母を用います。醸した期間は42日間。エキス分がたっぷり移行した果汁は、月光の元で圧搾されます。その後、スラボニアンオークの古大樽にて14ヶ月間シュールリー(滓の上で熟成)を施します。小規模な造り手なので生産本数は3000本と希少で、リリースと同時に瞬時に完売するワインです。ミステリアスで個性的、他にない味わいなので、リピートされる方も多いです。見かけたら買いのワインです。
Story
最高のワインラバーは最高のワインに値する −Peter Gonc GONC(グンツ)ワイナリーの歴史は1936年に遡ります。先代の曽祖父がハンガリーとの国境にあるDobrovnik村で、ぶどうの苗木を植えたのがはじまりです。現在は4代目の若き当主 Peter Gonc(ペーター・グンツ)に受け継がれ、スロヴェニア第2の都市Mariborの近くのPtuj村でワイン造りに励んでいます。
世代をこえて守り継がれた11haの畑では、ぶどう栽培から瓶詰めまでを家族で行います。『母なる自然』との結び付き、その歩みに耳を傾け、逆らうことなく従うことを心がけてきました。そんな信念は、天然酵母に任せたワイン造りや、添加物なしにナチュラルなワインを造ることに繋がります。自然なワイン造りこそが、土壌のポテンシャルやその年の気候、ひいては情熱をも表現できるとPeterは信じています。
真面目にGONCワイナリーをご紹介してきましたが、つまらないと思いました。実につまらない!!非常にありきたりな内容で、面白くない!と気が付きました。これを書いている本人がそのように感じるのですから、きっと皆様はもっとウンザリされているだろうと想像します。では、ここからはGONCのキャラクターに合わせて、ファンキーに参りましょう!
ひとつ面白い話があります。ワイナリー名の誕生の秘話です。GONCの名前は、彼らがプロデュースしたハンガリー産の樽の名に由来しています。樽は136Lの小樽です。他のGONCワインのエチケットにも「G」「1」「3」「6」という英数字が点で表現されていたり、アイコンや水玉で表されていたりします。点(ドット)は数えたら個数はわかりますが、その数はワイナリー名に由来する樽のリッター数「136」に辿り着きます。疑うつもりはありませんでしたが、鉛筆で×印を付けながら、地道に点やアイコンをカウントしました。はたから見たら相当変な人です。数えたら本当に136個ありました。ワインは136のドットからできており、1つのドットは1Lを示します。GONCのエチケットをゆっくり眺めると、色々な発見があり、なかなか興味深いものです。
もうひとつGONCのユニークな一面をご紹介します。Peterは典型的なロックミュージックのファンです。彼のクリエイティブなワイン造りに“良い音楽”は不可欠です。Toploader、Steppenwolf、Ram Jamなどを発酵中のワインに聞かせています。ノリノリのリズムでワインを造っている当主を想像しました。ワインが音楽と出会えば、それは心が揺さぶられるようなファンタスティックな組み合わせで、良い曲なくしては、良いワインが造れないと言います。マジですか。Peterには良い音楽を聴かせなければ!笑 彼の造る白ワインは燃料(給油)のようで、容赦なく人々の心と舌にかがり火を灯します。躍動感やエネルギーが半端ありません。段々とGONCのワインが飲みたくなってきた頃だと思います。この辺りで結びに入りましょう。ここまで書いておきながらですが、Peterが伝えたいのはワインの解説ではありません。実際にワインを飲んでその声を聴けば、きっと貴方だけのGONCの音色を聴くことでしょう。多くは語りません、先ずは飲んで感じてみて下さい。
GONC(グンツ)の生産者についてはコチラ